晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

2024-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「ここに物語が」

梨木香歩「ここに物語が」を読んだ。梨木香歩さんは物語はもちろんのこと、紀行文といったいわゆるノンフィクション系でもいいものを書ける人である。新聞の書評欄や本の解説、雑誌などに発表した文章(もちろん本がらみ)を集めた本だ。本にも「たまらなく…

「カフカ断片集」

「カフカ短編集」に続いて「カフカ断片集」。読んでみると、かなり近いな。それはともかくとして、こちらは頭木弘樹さんの編訳になる。断片集なので短いのだけれども、短編の範疇に入っていた文もいくつかあった。『 』はカフカ自身がつけたタイトル、「 」…

「明日、ぼくは店の棚からヘイト本を外せるだろうか」

ジュンク堂店長を務めていた福嶋聡さんの400ページを超える大著。著者紹介で「2022年まで難波店店長をつとめる」と書いてあるので今は何をしているのだろうと思いつつ、1959年生まれなので職場は「ご卒業」されているのかもしれない。発信力のあ…

「教養としてのアメリカ短篇小説」

こういう本を読むと紹介された本もつい読んだ気になってしまうのだが、次(紹介された本を読む)につなげていけないと。著者は、ブコウスキーやジュノ・ディアスなどを翻訳している都甲幸治さん。この本のように作品紹介の本もたくさん書いている。この本は…

「ハンチバック」

芥川賞受賞で話題になった市川沙央さんの「ハンチバック」を読んだ。確かに衝撃作。でも、目を背けることができない非常に現実的な話。著者自身に筋疾患があり、人工呼吸器と電動車椅子と一緒の姿をメディアで見てきたからなのだろうけど、作品の軽妙さが逆…

「はじめて考えるときのように」

野矢茂樹さんの哲学的エッセイというべきか。「哲学的」と書いたが「哲学以前」のようでもあるし、哲学する前の頭の体操か地ならしのようでもある。いろはの「い」ではなく、てつがくの「て」といった感じか。哲学書だとしたら、ゆる~い哲学書だ。 はじめて…