小さな出版社の存在が増しているのは、気が付いていた。ミシマ社の本は、よく寄る書店にも結構目立つ位置に置いてある。「え、こんな値段なの」と思うときもあるが、小さな出版社を維持するためと思って財布のひもを緩めることもある。その昔は取次を通さないと書店に並ばないことが多かったが、近年は流通環境に変化が生じて、書店主の度量次第では店頭に並ぶことがある。ちなみにこの本を買ったのも、そんな書店からだ。この本は、割と大手出版社からの刊行だが。
書店をやりたいと思ったことはある。家族は反対するだろうし、書店員さんの本を読むと結構体力も必要だとのこと。資金だって十分にはないし、場所だってあるわけでもない。書店自体、ほぼ絶滅種である。
この本は、それこそひとり出版社を立ち上げている西山雅子さんが、いろいろな小規模出版社の人に話を聞いてまとめた本。厳密に一人じゃない場合もあるが、小規模なのは間違いない。定年が近づいてきている自分にできるかどうかは別として、どんな感じでやっているのかなと思って買ってみた。当然、「成功」した人たちが取り上げられている。成功というよりは、継続出来ている人たちと考えるべきか。そもそも、継続=成功ととらえるべきかもしれないが。
そもそもこの本は2015年に刊行されたものだ。そのころには、小規模出版社として「成功」していた例が複数あったという事だろう。今回は、「現状」をプラスした形で「増補改訂版」として出た形だ。この現状部分のプラスアルファが参考になる。まあ、儲かるって感じはない。ミシマ社あたりはうまく行っているような気もするが、もし、自分が「ひとり出版社」を始めるとしたら、歳もとっているので、やはり早い時期に結果がほしくなるだろう。1年、2年で、と言うつもりはないが、長期戦はたぶん無理。
「ひとり出版社」を扱った本は結構出ているようだ。できれば「失敗例」も知っておきたいが、それじゃ本にならないか。とにかく定年後や副業あたりも見据えながら、少しずつ情報を集めていこう。