晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

「14歳からの哲学 考えるための教科書」

 ふとしたきっかけで、「14歳からの哲学」を買った。池田晶子さんという存在は、ずっと気になっていた。著者がすでに故人であるのに、新聞の広告に彼女の本が載ることがある。調べてみると結構多作である。写真をみると、なかなかの目力である。ある本を買った時に、この本がレジの近くにあるのを見てしまった。すでに14歳を4回生きている計算になるが、「14歳から」だし読んでみるか、と購入した。

 中学生に語りかけるような文体で、「考える」「家族」「社会」「規則」などと項目をたてて、自分の力で考えるように促している。特段、特別なことを書いてあるようには思えないが、なぜか読んでいて、長い間忘れていたことに気づかされたような、すべてじゃないにしても、気持ちのある部分がリセットされたような感じだ。やはり、気持ちの指針になるようなものが活字で示されているって大事なことだと思う。そして、自分で考えるのがもっと大事。

 この本が刊行されたのが2003年。14歳に限らず、世の中は大きく変わった。特にここ2年のコロナ禍では、学校や会社に通うとか、人と集うとか、これまで当たり前と思っていたことが、一時的であれ否定されたりした。サラリーマン生活の終わり近くになって、定期代が出社に応じて後払いになるとは思わなかった。仕事後を含めて新橋に通うのが好きだったのに。

 まあ、それはそれとして、これまでの価値観を大いに揺さぶられる時代になっているからこそ、このような本が必要をなるのではないか。その意味では、まだ古びていない本だと確信している。