晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

「ノスタルジックな読書」

 先月下旬のブックマーケットで購入した本。著者は知らない人だが、マーケットが終了する時間が近づいていて、急いで買ったのだった。ほぼジャケ買い。何かの縁だろう。「港の人」(鎌倉の出版社の名前)で買いたかったのだが、クレジットカードが使えなかったので、現金の持ち合わせから1冊しか購入できなかった。大島エリ子さんという人は、本からいただいた情報で、横浜の同人誌「時空」の同人であることでしか知らないが、漫画、映画、小説と自分と守備範囲が近くて結構楽しめた。

 まずは漫画から。森川久美ますむらひろし樹村みのりつげ義春諸星大二郎など、近年は谷口ジローフジモトマサルくらいしか読まない自分でも、まだ読んだ事がある漫画家たちで救われた気がした。自分より10歳近く上だが、一定の年齢になるとそんなに差を感じないもの。ほぼ同世代だ。

 前のめりになって読んでしまった部分は、ウルトラシリーズの怪獣のところ。著者がとりあげたのはペギラ。目は、ちょっとミニラのようななんでも凍らせてしまう怪獣だった。チャンドラーとセットに考えていた時代があった。自分とのつきあいは新ウルトラマンまでだが、怪獣の足跡シール(雑誌「小学○年生」の付録だったのだろうか)が宝物だった。架空の怪獣の足跡を喜ぶなんて、ボルヘスかレムのどちらかが書いた(もしくはどっちも)、架空の小説の序文集や批評集を思い出す。ヒーローに倒される相手にも物語をある時代だったなと思う。時折、政治的なメッセージが織り込まれていたのは有名な話だが。

 「スティーヴン・キングにおける場所と時間」という評論も面白かった。ポピュラーな作品が多いだけに逆に論考などはあまり読んだ事がなかった。作品の時代設定など、なるほど言われてみれば、というところも多い。関西で文芸評論の賞を取っているとの事だ。その他、小説や野球のことにも触れていて、この年代でこんなに野球を語れる人は少ないのではと思った。ジャケ買いは成功とみた。