晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

映画「パリタクシー」

 ようやく横浜の映画館でかかったので、見に行った。ポスターとタイトルでそれとなく内容は想像できる。金策に困っているタクシー運転手は免停直前。残り2点がなくなると、仕事そのものがなくなってしまう。ストレスのせいか、表情は暗い。でも根は悪くなさそうだ。そんなときに無線を通じて乗客から依頼がある。結構な距離の上に迎車の時点からメーターを回して良いらしい。待っていた乗客は92歳のマダム。住む家を離れて、介護施設に向かう。

 いわば乗車から施設に向かうまでの始終を描いた映画だが、ムスッとした運転手の顔が打ち解けた表情になっていくのが楽しい。回顧部分に暴力的なシーンはあるが、文科省推奨の映画って感じの作品だ。

シネマ ジャック&ベティーが入ったビルの壁に掲げてあったポスター

 客となったマダムのマドレーヌ。心構えこそ施設なんてまっぴらという感じだが、年相応に体は弱っているので入所する事になったようだ。やっぱり、まっすぐ施設に行きたくはない。パリの名所に寄り道をお願いする。

 その間に明らかになるマドレーヌの壮絶な過去。実は前科者だったのだ。米兵との間に一子をもうけたが、米兵は帰国。彼の行方を捜したが、本国で家族を持っていた。フランス人の恋人ができたのだが、その男にとっては、マドレーヌの連れ子は邪魔でしかなかった……。

 タクシーがパリの名所を回り、その間にマドレーヌの回顧シーンが絡む。そして、運転手シャルルにもピンチが訪れる。90分くらいの間、話がずっと動いている感覚。作品中に流れるジャズは、かつての恋人だった米兵との思い出をイメージしたものだろうか。一言で、後味がいい映画である。ほっこりと感動させてもらった。

 マドレーヌ役は、国民的なシャンソン歌手のリーヌ・ルノーで、運転手シャルル役は、人気コメディアンのダニー・ブーン。正直、よく知らないのだが、二人はプライベートでも親交があるようだ。監督は、クリスチャン・カリオン。