晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

「喫茶店で松本隆さんから聞いたこと」

 書店主(雑貨も売っているようだが)の山下賢二さんが、京都の喫茶店で作詞家の松本隆さんから聞いた話をまとめた本。出版社は夏葉社。章立てが喫茶店別になっている。松本隆さんは説明不要なはず。東京生まれ(港区)だが、数年前に関西に移住しているとのこと。山下さんは新聞に連載を持っていたことから、京都では文化人というか、発信力のある方と見た。著書もある。

 「〇〇について」という題が多い。たぶんあまり飾らずに率直に題をつけたのだろうが、松本隆さんだけになんか賢人に話を聞いているように感じてしまう。松本さんのモノローグとなっている。「はっぴいえんど」や作詞、音楽業界や恋愛などと話題は多岐にわたる。喫茶店でするフリートークという感じで、年齢のせいもあるかもしれないが、力が抜けた雰囲気だ。

 松田聖子ガラスの林檎」は、ソニーから漢字が難しいからカタカナに変えてほしいと要望があったという。小学生が読めないと。しかし松本さんは、この歌がヒットすれば小学生も「林檎」が読めるようになる。これこそ教育だと、突っぱねたという。実際これで「林檎」が読めるようになった子どもは多いはずである。

 クラシックやジャズなどジャンルにこだわるのも好まないとのことだ。「はっぴいえんど」が日本語のロックバンドとして結成されているし、松本さんが多くの歌詞を書いた松田聖子さんは、アルバム単位で評価された最初のアイドルだったように思える。当時で言えば歌謡曲と自作で曲をつくるアーティストたちの間にあった壁を壊すような存在だった。それこそ喫茶店で読んでみたい一冊である。帰りに電車で読んじゃったが。

 ちなみに山下さんが松本さんに話を聞いた喫茶店は、「カフェ火裏蓮花」「ジャズスポット ヤマトヤ」「イノダコーヒ本店旧館」「かもがわカフェ」。京都って、パンがおいしいからいい喫茶店も多い気がする。久しぶりに行ってみたい。