年末だったろうか、書店をのぞいたら、村上春樹「古くて素敵なクラシック・レコートたち」が平積みされていた。1年半前ごろにでた本のはずなのに、またクラシックネタの本でも並べているのかと思っていたら、続編だった。
自分が持っているコレクションを紹介して、それがまた読者の興味を引いて売れてしまう。なかなか村上春樹さんレベルじゃないとなし得ないと思うが、自分も結局買ってしまった。前回を読んだときも書いたが、クラシックに関してはもうちょっと詳しくなって楽しみたいと思っている。
今回も500枚ほどのLPレコードが紹介されているだろうか。これだけジャケットをそろえるのも大変だと思う。春樹コレクションから集めたかもしれないが、そうだとすると、保存状態もかなりいいような気がしている。自分はCDでしか持っていないが、村上さんとかぶるのはせいぜい5枚か。録音の年などを調べてみないとわからないが、CDでジャケットが変更されたものがあるかもしれない。だからどうしたって話だが。
「こいつはこんな風に思ってこのレコードを聴いているのか」程度に聞き流せと書いてあるが、こちらの方が村上さんに寄せてしまうところはあるだろう。こちらは知識がそれほどないので、参考にさせてもらうつもりである。
気になったアルバムは、ヒンデミットの交響曲「画家マティス」。つい、フランスの画家(アンリ・)マティスのことだと思ってしまったが、16世紀ドイツの宗教画家マティアス・グリューネヴァルトのことだそうである。この歌劇の筋書きはあきらかに反ナチス的であったため、この作曲家を擁護したフルトヴェングラーは見せしめとしてウィーン・フィルの音楽監督の地位を去ることになったという。ロックやジャズだってそのようなエピソードはあるだろうけど、クラシックのエピソードはほとんど世界史的で、関心度が高くなる。
個人的に好きなブラームスも、自分の持っていないアルバムばかりである。村上さんの持っているものが、すなわち「名盤」ではないが、気になる存在になってくる。村上さんがクラシック業界の回し者のように思えてきた。
日本人演奏家も紹介されていて、そちらにも興味がわいてきた。不幸にも最も近いタワーレコードはクラシックコーナーをむごいばかりに縮小したばかりであるが、渋谷あたりに寄った際には物色したいと思っている。幸いクラシックは他ジャンルと比べると手を出しやすい。
そういえば、村上さんって今日が誕生日。おめでとうございます。