晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

映画「ソングス・フォー・ドレラ」

 久しぶりに横浜シネマリンで映画を見た。いつ以来か思い出せないが、改築後初めてかもしれない。チケットを買う場所が変わったと思ったので、たぶんそうなんだろう。いや、「トイレがきれいになった」という印象を持った記憶もあるので、一度は行った事があるような。いずれにせよ、相当に間があいているのは間違いない。

 なかなか渋い映画をかけてくれる。音楽ものも結構多い。これまでも見たい映画はたくさんあったが、なかなか日程があわずに何度か断念していた。今回、この「ソングス・フォー・ドレラ」(4Kレストア版)はぜひ見たいと思っていたところ、公私ともに完全にオフの日と上映のタイミングがあったので足を運んだ。

映画のチラシ。アルバムのジャケットと一緒

 映画とはいえ、別にストーリーがあるわけでない。アンディ・ウォーホルの死に際して、共演したルー・リードジョン・ケイル(元ヴェルヴェット・アンダーグラウンド)が同名の追悼アルバムの曲を淡々と演奏しているだけである。ご存じだと思うが、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドは、ニコという女性ボーカルを迎えたバナナのジャケットで有名なバンドである。そのジャケットのデザインはもちろんウォーホル。タイトルの「ドレラ」とは、ウォーホルのあだ名でドラキュラとシンデレラを足した造語とのことだ。

 アルバムの方は30年ほど前に発売されたと記憶する。実はその頃からルー・リードを聞き始めたのだ。それまではどうもあの硬質なサウンドが耳になじめなかった。それが30歳前後から妙に格好いいと思えるようになってきたのだ。そのような頃にアンディが1987年に亡くなり、その3年後にこの二人による追悼アルバムが発売された。

 今回、良かったと思ったのは訳詞というか字幕がついていたこと。アルバムは輸入盤だったし、曲を聞いて即歌詞を理解できるほどの英語力はない。改めて見ると、すべての曲がウォーホルを主語にしたような曲や、彼らによるウォーホルへのメッセージで尽くされている。遅まきながら、このようなアルバムだったのかと理解した次第だ。追悼アルバムである事は理解していたが、それまではメロディーベースで判断していた。

 この歌詞を追っていくと、やはりMCやトークは無駄と思える。ストーリーとして、歌詞以外は必要ない。55分という短いフィルムながら、演奏だけで正解なのである。たぶん映像でジョン・ケイルを見るのは初めて。なかなかこちらも格好がいい。