晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

また浸かりたい横浜の銭湯②

 「サウナ語辞典」の後に、サウナがない銭湯を紹介するのも気が引けるのだが、この銭湯の印象が強かったので書くことにする。鶴見区・生麦にある「宮下湯」。サウナはないし、湯も温泉というわけでもない。履歴書的に書くと、資格・特技欄は空白かもしれない。しかしながら、気持ちのいいほどの清潔感がある。

 古いなりに清潔にしている銭湯は多いが、きれいと瞬時に伝わる湯はそれほどない。時間が早かったせいか、浴室のタイルなんて頰ずりをしたいほど。高級住宅地のお屋敷の美しさとは違った、こぢんまりしているが住んでいる人の心構えが伝わってくるような、しっかりと整理された家という感じだ。

気持ちまで洗ってくれそうな生麦・宮下湯

 京急生麦駅で下車。19世紀に英国人殺傷事件があった生麦事件があった場所で知られるが、現在は「生麦酒」を製造するキリンの工場があるので有名だ。海側というべきか国道側には、朝日湯、それこそキリンの工場前にある竹の湯がある。宮下湯はその逆の方向で、線路側というか内側に入った方面にある。多少歩くし、やや奥まったところにあってわかりにくい。徒歩8分くらいか。

 番台にはチャキチャキしたおばさんが座っていた。入った後に感じた事だが、たぶん、お掃除はこの人がやってるんだろうなと思わせる。直接的ではなかったが、「見ない顔ねえ」というような事を聞かれたと思う。「ビールを飲む前にひとっ風呂浴びようと思って」と言うと、「ここらは結構あるからね」なんて返事がある。工場があるせいか、キリンを置く店ばかりだが。

 脱衣所にはロッカーの他に漆籠があり、週刊文春週刊新潮が置いてある。新聞は置く銭湯は知っているし、古い漫画があったりもするが、文春・新潮は初めてかもしれない。建物は古いけど、書いたとおり浴室はきれい。家は小さくて古いけどトイレをすごくきれいにしている家ってあるが、それに近い。

 湯船は深め。やはり深い方がいいなあ。脚を放り出すように座る浅い湯は苦手なのだ。二つあるうちの片方は超音波風呂。平日の夕方時にお客さんは自分を入れて3人だったか。のんびりした時間が、昭和の銭湯を思い出させた。短い時間だったかもしれないけど、長く感じた。

 番台のおばさんに、月一度しか休まないんですか聞くと、「おまんま食べられないもの。働かないとね」との返事。というが、卑屈さがみじんもない。帰り際に、「美味しい酒を飲んできてね」と声をかけられて、ちょっとうれしくなって店を出た。飲み屋とセット(いつもそんな事を考えているけど)で、また寄りたい。生麦も魅力的だし。