晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

「はじめてのクラシック音楽」

 歳をとるにつれて、クラシック音楽を聴く割合が増えてきた。グラミー賞授賞式や音楽チャートを見て、興味をそそられてCDを購入するということはほぼなくなった。最近では、T字路sくらいか。枯れてきたとは思いたくないが、T字路sに関しても懐古趣味と言われる余地はある。その分、クラシックに向いていると言ってもいい。知らない分野を開拓していきたいという気持ちはある。ただ、足を踏み入れてみるとあまりの広大さにどちらに進むべきかわからないところがある(ポップスだって広大だが)。

 で、購入したのがこの本。許光俊さんの存在は知っていて、一度読んでみたいとも思っていた。さあ、クラシック。この分野に膨大な知識を持っている許光俊さんにとっては、入門書でどこまでの情報を提供するかというところかと思う。たぶん、少しだけ「出す」というよりも、多くの情報から「削る」作業が大変なのではないか。

 まずは、クラシックがどんな音楽か、そして、「聴き方」。「種類」「楽器」「作曲家」「演奏家」と進んでいく。簡単に言えば、しゃちほこばらないで、気になったら聴いてみてというアプローチだ。ホールだって、CDだって、配信だっていいとのこと。いまやクラシックは「静かに聴く音楽」で、特に日本人はマナーがいいと言われているが、クラシックがまだ「芸術」ではなく「娯楽」だった時は、演奏中の私語や拍手は当たり前だったそうだ。

 作曲家は生誕年別に紹介されていて、役に立つ。誰が誰の影響を受けている、もしくは、弟子だったとか。この人とこの人は同世代なのだというのがわかってくると、頭の中にちょっとした人脈図ができるようで楽しい。それぞれの代表曲というのがわかってきて、個人的に好き嫌いが定まってきている作曲家以外は、案内に沿って聴いてみようかという気持ちになっている。

 許光俊さんのわかりやすい文章もありがたかった。相当数の著書があるだけに手慣れたものである。