晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

「さがしもの」

 「新潮文庫の100冊」のキャンペーンの時期だ。他の出版社も同様の事をやっている。夏休みに本を読んでね、とのことだろう。いわば、名作や話題作が多いので、多くは既読だったり、持っていたり、あまり興味のない作家だったり。キャンペーンの棚を眺めていると、角田光代さんの本があった。エッセイばかりで、小説を読んだ事がない。少し気になっていた存在だったが、いつの間にかたくさんの作品を発表し、評価が高まる中で、「追う」タイミングを逸してしまったようだ。この「さがしもの」。小説だし、すべてが本の物語。一度、読んでみるか。フェアの景品である、ステンドグラスしおりはもらえなかったけど。比較的大きな書店で買ったから、品切れになっていたのかも。

 「旅する本」「だれか」「手紙」「彼と私の本棚」「不幸の種」「引き出しの奥」「ミツザワ書店」「さがしもの」「初バレンタイン」と、中にはタイトルを見てもわかるものもあるだろうけど、すべてが本がらみ。

 「旅する本」は、昔手放した本と海外の中古本屋で出会う話。既読感があったが、先に書いたとおり、角田さんの小説は読んだ事はないはず。似たような体験をしたことがあるからだろうが。僕の場合は市内の古書店だったけど。

 「手紙」には、リチャード・ブローティガンの詩が引用されていた。「彼と私の本棚」は、よくある話だろうけど、別離に伴い本の整理する女性の話。個人的な経験だとなまじ趣味が近いと細部で衝突するので、遠い方がいい気がしている。「ミツザワ書店」は、小説家が昔利用した書店に万引きした本の勘定を払いにいく話だ。そういえば角田さんは、岡崎武志さんと「古本道場」なんて本も出していたな(積読です)。

 角田さんは横浜出身。あとがき代わりのエッセイには有隣堂ジョイナス店のことが書いてある。たぶん、最近まで「ザ・ダイヤモンド店」だったはずである。店名が変わったのは2015年。このエッセイの初出は「ザ・ダイヤモンド店」だったのかなと、妙なところが気になってしまう。ちなみに、この本は同じ有隣堂伊勢佐木町本店で購入した。