晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

「カレーライスと餃子ライス」

 タイトルにつられた。「カレーライスと餃子ライス」の題が、平野甲賀さんの書体で書かれている。「日本語の外へ」もそうだったが、いかにも晶文社の本って姿である。日本のカレーは、縦横無尽というか変幻自在というか、いろんな形がある。具によっていろいろなカレーがあるし、カレーうどんのような蕎麦屋さんで出るような和風のものもある。カツカレーに至っては、おなかはもちろん、ちょっとした贅沢感や満足感を満たしてくれる。

 さて、片岡義男さんのこの本は、前半は夕刊紙に連載されたエッセーが元になっている。前半というのは「カレーライス」のこと。後半の「餃子ライス」は、連載だけでは一冊分の本にならないので、書き足した部分。こちらはフィクションである。ページ数の割合は6:4だ。連載のタイトルは「カレーライス漂流記」。収録に当たってこの部分は「カレーライスは漂流する」となっている。

 連載のタイトルの通り、あちらに安いカレーがあると聞けば、電車賃の出費や移動時間などを顧みずに向かい、こちらに立ち食いインドカレーがあると聞けば(銀座などにある「よもぎそば」と思われる)、食べに行くと感じである。スパイスがどうだ、味がどうだという立ち入った話はほぼない。むしろ、グルメっぽくなくて好感が持てる。

 カレーと餃子をつないでいるのは、どちらも気軽に食べられる「ソロ活動」的なところだと思っている。友達を連れて食べに行くこともあるのだが、どこにでもあるところがこの二つを結びつけているように思える。片岡さんが大事にしているのが、原稿を書いたり珈琲を飲んだりと、それとなく1人でいる時間なのだろう。片岡さんの原稿に良く出てくるのが喫茶店である。

この時代の夜まだ早い時間、ビリヤードにひとりでいる女性は、美人であればあるほど、ビリヤードの腕は確かだった。

 上の文章は、妙に片岡さんらしくて笑ってしまった。「この時代」とはバブル期だったろうか。

 「カレーライスと餃子ライス」。題としては収まりがいいのだろうけど、餃子はライスが一緒だと競争力が落ちるような気がしている。やはり、餃子は餃子単品か、おともにビールだろう。横浜だと、餃子とタンメンかチャーメン(やきそば)というところか。なんか、飲みたくなってきた。