晴走雨読 横鎌日記

気ままな読書と無理しないランニングについて綴ります。横浜と鎌倉を中心に映画やお出かけもあり。ここのところ、行動範囲が限られています

2020-01-01から1年間の記事一覧

「豆大福と珈琲」

お恥ずかしい話ながら、珈琲にまつわるエッセイだと思って購入した。もっと恥ずかしいことに、読み進めてもまだ小説だと気づかなかった。気づいたのは5ページ目あたりである。なんだ小説なのか、と思いつつ、もしかしたら片岡義男さんの小説を読むのは初め…

「法廷通訳人」

甲とか乙とか混じった文章は苦手だ。新聞に載った判決文なんかもざっと読み飛ばす方だ。そこに外国語が絡む法廷通訳人。聞いただけで尊敬というか、羨望の気持ちが湧いてくる。でもこの本で、法廷通訳には特に資格もいらないとも知った。志望者は裁判所に連…

緊急事態宣言解除

先週の金曜くらいだろうか。25日の1都1道3県の緊急事態宣言解除がぐっと現実化した気がした。これはそんな流れなのだなと。もちろん、結果はみなさんご存じのとおりである。 金曜にコロナウイルスの影響で公開が宙ぶらりんになっていた映画の6月公開をう…

「横浜本牧・英語亭」

東京や神奈川の緊急事態宣言解除はまだ先になりそうだ。ここ数日は、神奈川の感染者の数が東京よりも多いときがある。神奈川は院内感染が目立つ。でも、よその地域の解除によって、ここらも商売を再開するところが増えてきた。再開した古書店で見つけた本が…

「狂言じゃ、狂言じゃ!」

コロナ禍の影響で、興行は軒並み中止や延期。芸で生計を立てる人たちは当然困っているだろうけど、客だって鬱憤がたまる。毎月、国立劇場の情報誌が送られてくるのだが、一通り読ませた後に、紙きれ一枚が挟んであった。「掲載されている公演はすべて中止で…

「円朝芝居噺 夫婦幽霊」

三遊亭円朝と言えば、いまも創作、改作した演目がかかる三遊派の大名跡である。その昔、1週間ほど入院した時に、円生のCDで「牡丹燈籠」「真景累ヶ淵」を聞いたことがある。入院中に怪談を聞くなんてと思うかもしれないが、外科だったので、体を動かせない…

「ケンブリッジ・サーカス」

欧米の英語圏とか、その他はせいぜい韓国くらいの事情しか知らないのだが、日本ほど、真っ当に翻訳者を扱う国はないと思ったりする。日本の小説や北欧のミステリーが英訳されても、英米の本で翻訳者の名前が表紙に載っていることなど、あまり見たことがない…

横浜マラソン2020 中止

昨日、フェイスブック上に事務局から、「横浜マラソン2020」の大会中止の知らせがあった。やはりコロナウイルスの影響である。もう11月の大会の中止が決まるのかよって気持ちだったが、2万以上の規模で、かつボランティアもたくさん参加する大会である。一…

「BUTTER」

結構迷って、買った本。柚木麻子さんがどんなものを書くかも知らなかったけど、この本が連続不審死事件の木嶋佳苗死刑囚を素材にした小説だというのは帯でわかった。いわゆるワイドショーをにぎわすような事件にはあまり興味がない。しかしながら、テレワー…

「短歌の作り方、教えてください」

歳をとったら、やってみようと思っていたことの一つが、短歌を作ることだった。が、いまだに手付かず。雑誌を買ったり、テレビをみたりはしているのだが、いまだ行動に移せずにいる。鎌倉あたりの結社に入るというのも、ちょっと格好がいいと思いつつも、結…

「一投に賭ける」

溝口和洋というやり投げの選手がいた。確かに記憶にはあるが、人となりまでは知らなかった。帯には、さまざまな伝説が書いてある。「高校のインターハイにアフロパーマで出場」「いつもタバコをふかし、酒も毎晩ボトル一本は軽い」「気に入らない新聞記者を…

コロナ禍のランニング Garmin Connect 100k ステップチャレンジ

テレワークはいまだに軌道に乗らないまま。しかし当面、このような生活が続くのだろう。今後は、大型台風など荒天が予想されたりすると、「明日はテレワークで」と切り替えられるのこともあるのだろうな。週に一、二度は気分転換になるのだが、こう続くと気…

「進化のからくり」

門外漢なので、本格的な学術書には向き合えないが、このようなエッセイだったら、なんとかついていける。進化生物学者ってロマンチストだなとつくづく思った。講談社のPR誌「本」の連載をまとめて加筆・修正を加えたもの。筆者の千葉聡氏の専門は進化生物学…

「日本ノンフィクション史」

副題に「ルポルタージュからアカデミック・ジャーナリズムまで」とある。購入はやや勘違いから。実は、過去の名作の紹介がされていると思っていた。もちろん、そのような要素もあるが、実質的には、日本におけるノンフィクションの手法の歴史といった方がい…

「ブンとフン」

休校中の子供のために買った本。学校からの連絡で、おすすめという扱いだった。食いつきが悪いので、自分で読む。1970年の本なので、ネタにする芸人や感覚にのめりこめないのはわからなくもない。代わりにこちらが楽しんで読ませてもらった。この作品は、井…

「哲学の先生と人生の話をしよう」

仕事中に、朝日新聞デジタルで人生相談を読んでしまうことがある。朝日新聞がいいというよりは相談を受ける側の面子が好きだ。「悩みのるつぼ」というコーナーで紙面ではどこに載っているわからないのだが、上野千鶴子、美輪明宏、姜尚中、清田隆之の各氏が…

「にょにょにょっ記」

テレワークの日が増えてきた。会社に行かないとできない仕事もあるので、ずっと家にいるわけではないが、それでも週2、3日は家にこもっている。社にいる時は、仕事の合間に本や新聞を読む時があるのに、家でのテレワーク中は子供にサボっているのを見られ…

「野性の呼び声」

ジャック・ロンドン「野性の呼び声」を読んだ。最近、ハリソン・フォードの出演で映画化された小説である。映画化もたびたび、日本語訳もたくさんある。読んだのがずいぶん古い本で、なんとウィキペディアにも訳者の名前が載っていない。結構、レアな本を読…

「焼野まで」

大辞林によると「焼野(やけの)」には二通りの意味がある。①早春、野焼きをしたあとの野原。②大規模な火災などのため、焼け果てて荒れている所。やけのがはら。 この小説は、東日本大震災の直後に子宮体がんが見つかった村田喜代子さん自身の体験がもとにな…

「装丁物語」

懐事情で読むのは文庫か新書がメインになって、やや寂しいと思うのが装丁のインパクトが薄れること。店頭の主役がLPレコードからCDが変わった時にもそのような気持ちになった人が多いだろう。どうしてもジャケットのインパクトが弱くなる。ストリーミングな…

「ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた」

個人的に刺さるタイトルだ。ウルトラQからウルトラマンタロウまで、お付き合いした世代だが、就学前に出会ったウルトラマンとウルトラセブンの印象が強い。ウルトラマンであるハヤタ、セブンのダンを演じた、黒部進と森次浩司(現・晃嗣)に対しては、その後…

月刊みすず 読書アンケート特集 2020年

「月刊みすず」恒例の読書アンケート特集。毎年2月の初旬には手元に届き、すぐに読むのだが、今年はタイミングを外してしまいそのまま1カ月経ってしまった。各分野の識者へ、昨年読んだ(刊行されたのではなく)本を5点あげるのがお題となっているが、今…

「しらふで生きる」

町田康氏が酒をやめていたとは知らなかったが、こうして本になっているのだから、やめているのだろう。副題には「大酒飲みの決断」とある。酒がらみのエッセイは気になるが、やめるとなると興味が薄れる。ただ、依存症から脱したという話なら関心はある。こ…

映画「FRIDAY」

横浜市中区長者町にあるライブハウス「FRIDAY」。40年続いている。音楽好きや地元で飲む連中には知られたハコなはずだが、伊勢佐木町や福富町界隈に縁のない人や県外の人にはわからないのも無理はない。クレージーケンバンド(メンバーを絞って)が定例ライ…

「福島で酒をつくりたい」

浪江に住んだことがありながら、請戸で酒をつくっていたことを知ったのは東日本大震災の後だった。請戸から避難して山形を拠点に酒を造り続けている酒造店があるとの報道を耳にしたためだ。高校時代に飲酒は習慣化しつつあったが(ただしサイクルは月に1、…

「ブラームス カラー版 作曲家の生涯」

勝手ながら、ブラームス・ブームである。中古だと安価で手に入るという点も後押ししている。買いあさるってほどでもないが、ここのところ、週末に1、2枚と買っては家族が起きる前に聴いている。そのせいでランニングに入る時間が遅れている。 前に読んだ、…

「八本脚の蝶」続き

二階堂奥歯さんの日記にたびたび登場するのが、雪雪さんという方。奥歯さんより本を読んでいる人らしい。想像を絶する。現在は福島県郡山市の書店でお勤めのようだ。二人の出会いというか、ファーストコンタクトがすごい。雪雪さんが以前勤めていた書店で、…

「八本脚の蝶」

二階堂奥歯「八本脚の蝶」がとうとう文庫化された。近くの書店に平積みされていたのは、山崎ナオコーラ「かわいい夫」。なぜこんなに置かれているのか、ドラマ化でもされるのかと手に取って帯を読んだら、「八本脚の蝶」も同時に刊行されているではないか。…

「サブ2.5医師が教えるマラソン 自己ベスト最速達成メソッド」

走り始めて何年か経っているものの、初心者レベルの自分にとっては役に立つ部分がいくつかあった。サブ2.5のランナーというのはあまりに遠い存在で、自分からすればレースでは背中すら一度もみないままゴールしてしまうようなランナーであろう。著者の諏訪通…

「デトロイト美術館の奇跡」

デトロイト。主要産業は自動車で「自動車の街」と言われていた米国中西部の都市だ。数年前に、アフリカ系アメリカン人の暴動を描いた「デトロイト」という映画を見た。白人警官が高圧的というかほぼ脅迫ともいえる尋問をするシーンが頭に焼き付いて、後味が…